ペットの泉 〜ペット豆知識〜


 

犬の食べ物について

室内で飼われている犬が圧倒的に増えた現在、
飼い主さんが目を離した隙に何かを食べてしまうケースがあります。
場合によっては微量でも致命傷になることもあります。

犬にあげてはいけない食べ物編

【ネギ、タマネギ、ニラ、ニンニク類】
ネギ類に含まれるアリルプロピルジスルファイドという成分によって赤血球が破壊され、溶血性貧血が引き起こされます。中毒症状としては、下痢や嘔吐、血色素尿(紅茶のような色の尿)の排泄、黄疸、歯茎が白くなるなどの症状がみられます。この成分は、加熱によっても破壊されず、スープや煮汁に溶け出すので、見かけ上これらの野菜が入っていなくても注意が必要です。

【カカオ(チョコレート・ココア)】
カカオに含まれるテオブロミンという物質によって中毒症状を起こし、嘔吐・下痢・動悸・興奮・ふるえ・昏睡・けいれん・多尿などの症状が出ます。カフェインと似た構造をもちます。

【カフェイン(コーヒー・紅茶)】
犬がカフェインを摂取すると、チョコレート(カカオ)と同じような症状が出ます。カフェインを含有する、紅茶やコーヒー、ココアなどは与えないようにしてください。

【ジャガイモ(芽・表皮)】
ソラニンというステロイドアルカロイドが含まれます。特に家庭菜園などの小型には含有量が多く注意が必要です。未成熟なトマトにも含有されます。

【生の豚肉】
生の豚肉には、トキソプラズマ原虫やアニサキスなどの寄生虫がいる可能性があります。加熱調理が必要です。

【魚介類(エビ、カニ、イカ、タコ、貝類)】
生の魚介類の内臓には、ビタミンB1を破壊するチアミナーゼという酵素が含まれている可能性があるため、ビタミンB1欠乏症になる恐れがあります。この酵素は熱によって破壊されるので、過熱してあれば問題ありません。しかし、このような食べ物は、加工していない場合、消化が悪いため、胃腸に負担がかかり下痢や嘔吐の原因になるので、与えないほうがよいでしょう。

【鳥、魚などの硬い骨】
骨が裂けた部分が尖って、内臓や消化器にささって傷つける場合があります。火を通していない生の状態なら、表面が滑らかで大丈夫なようです。火を通した魚の骨なども、注意した方がいいでしょう。

【生卵の白身】
卵白に含まれるアビジンという物質によってビオチン欠乏症になり、皮膚炎、食欲不振、疲労・脱毛といった症状が出ます。黄身をいっしょにあげれば、この症状は出ません。また加工されていれば問題ありません。

【人間用に調理した食べ物すべて】
塩分、糖分その他ペットには必要のない成分がたくさん含まれています。最後に辛いのはペットです。
欲しがってもあげないのが優しさです。

【塩分】
犬は汗をほとんどかかないので、体内の塩分の調整ができません。ですので、人間用に調味した食べ物や、ポテトチップスなどの塩気のあるお菓子など塩分の高いものは与えないようにしてください。ミネラル分を補給するためにドッグフードに微量配合されている天然塩は問題ありません。

【糖分】
犬はおかしやケーキなどの甘いものが大好きなので欲しがりますが、糖尿病や肥満の原因になりますので与えないようにしてください。人間用に調味した食べ物は与えないでください。

【香辛料】
犬は香辛料が好きではありませんし、栄養的にも必要ありません。下痢をする可能性もありますし、胃を刺激し、肝臓や腎臓に悪影響を及ぼす可能性がありますので与えないようにしてください。

【乳製品(人間用)】
犬は、牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解するラクターゼという酵素を持っていませんので、消化不良による下痢が起こる可能性があります。同じ理由でヨーグルトもお勧めできません。チーズは嗜好性が高いですが、人間用は塩分が高いのであげないで下さい。どうしても給餌したい場合は犬用の物を利用して下さい。ただし犬用のチーズは常温保存がきくほどの保存料が含まれていることを知っておく必要があります。

【マカダミアナッツ】
まだ原因物質や因果関係は特定されていないようですが、虚脱、沈うつ、嘔吐、運動失調、震え、高熱がみられます。

【ぶどう、レーズン】
直接の毒性原因及び因果関係は特定できていませんが、糖分の過剰摂取により腎臓に悪い影響を及ぼし、嘔吐を起すことにより過度の脱水を経て、急性腎不全に陥る可能性があります。

【キシリトール(ペット用ガムにも使用されている)】
犬はキシリトール摂取により、インスリン過剰分泌を起こし、血糖値が急激に低下するため、低血糖、肝障害を起こします。

【レバー】
ビタミンAを多く含んでいるので、連日たくさん与えすぎるとビタミンA中毒(骨や関節痛、視力障害、脱毛)になります。

おわりに・・・

みなさんは犬に与えてはいけない食べ物をどのくらいご存知でしたか?


ペットを飼うということは、1つの命を家族として迎えいれるということです。
ペットの健康を一番に考え、幸せな人生を送れるように危険なものを認識することが大切ですね。

イギリス・ドイツでの犬をとりまく環境

小城 葵

イギリス・ドイツでの犬をとりまく環境

ペット先進国といわれるイギリス・ドイツでは、「犬の良し悪しは飼主次第」という考え方が浸透しています。

【イギリスのペットショップには、仔犬がいない】
ヨーロッパのペットショップのほとんどは、グッズ販売を主とした小さな店舗です。
なぜなら、イギリスでは「ペット動物法」等の法律があるため、仔犬を狭いゲージやショーケースに入れ展示することができないからです。

【イギリス・ドイツのブリーダーとショップ】
では、どうやって犬を販売しているのか?
今現在、多くのショップや病院でブリーダーとの交渉による「完全予約制」をとっています。

【保護施設の里親制度について】
イギリス・ドイツでは、保護施設の里親制度を利用して犬を飼い始めます。
そもそもドイツでは仔犬から飼う人が少ないのです。

【イギリスの保護施設 〜ドッグホーム『バタシー』について〜】
この施設では、スタッフが交代で勤務しており、犬を保護・収容し、里親捜しからその引渡しまで行っています。
さらに、里親の資格には厳しい基準が設けられています。ホームビジターと呼ばれるチームが家庭訪問や面接を行い、この犬の一生を託して良いか判断しています。

また、この保護施設(『バタシー』)では「リフォーミング(躾)」を行っています。
「リフォーミング」とは、人に対する攻撃性を排除し人と親しむ犬にすることです。

ドイツの犬 〜きびしい規則の中での本当の自由〜

ドイツでは、犬が地下鉄に平気で乗車し、街角ではノーリードは当たり前、飼主も犬も自由に暮らしています。それは、ドイツの古くからの犬文化と『犬と子供はドイツ人に育てさせろ』といわれる程の徹底した決まりと躾にあると考えられます。

【ドイツの犬の学校とは?】
ドイツには、犬の学校が古くから数多く存在しています。
犬も人と同じ様に教育を受けるという考えから、飼い犬の多くが犬の学校に通っています。

【犬税(ドイツ)】
ドイツでは、犬も税金をおさめる法律があります。
金額は市町村によって異なりますが、ミュウヘン市内では1頭につき年間約11,000円となっています。

【排泄物の始末(ドイツ)】
現在ドイツでは、糞の不始末は約22,000円の罰金が科せられます。

【ドイツの犬の権利と人の義務】
1994年2月、犬の飼主に関する法令の「草案」がドイツでも発表されました。

●飼主は、犬に1日合計2時間は付き合うべきである。
●1日最低8時間は、犬を視界距離内に置くべきである(昼・夜どちらでも)。
●仔犬を母犬から離す時期は「生後8週間以降」とする。

この他にも、餌に関する決まり・散歩の決まり・引き縄についてなどさまざまな犬のための法律があります。

マイクロチップとは

小城 葵

マイクロチップの目的・形状

マイクロチップを犬に埋め込むことによって、専用の読取り機を使い、瞬時に犬の情報(飼主の氏名住所・連絡先等)を読み取ることができます。イギリスでは既にかなりの使用実績があり、その他欧州でも義務化の方針を打ち出しています。     

【マイクロチップの目的】
@迷い犬・捨て犬を減らす。
A商売目的の犬の過度の繁殖を減らす。
B動物病院などでの犬個々の病歴などを記録する(狂犬病予防接種の有無など)。

【マイクロチップの形状】
アメリカで開発されたマイクロチップは、長さ10〜15mm、直径2mmの円筒状のガラス容器でできています。そのなかに認識番号(ID:情報)が記録できるようになっています。

マイクロチップ制度に対する反対意見

「注射器のような挿入機による埋め込み時に、犬に苦痛を与えるのではないか?」
→無反応か、せいぜい他の注射器と同じ反応しかみられず、出血もほとんどみられない、とのこと。


「発ガン率が高くなったり等の犬の健康に問題はないか?」
→イギリス・アメリカ・カナダでは既に長年の実績があり、可能性は否定できている、とのこと。

「アメリカでの犬をとりまく環境 その1」(6月16日講演 前半の抜粋)

講演者:ワールドナビゲートInc. 代表取締役  長谷川 真美(www.worldnavigate.com)

アメリカと日本のグルーミング犬種の違い

 アメリカ・・・日本に比べ、ミックス犬、大型犬が多いです。犬から2〜3M離れてみた見た目が大事です。同時に、店に病気予防など衛生的な面も求められています。
 日本・・・・・抱くことが前提となる犬種(小さい)が多いです。抱き上げて近くで見るので、毛ざわりやかわいさなどが重要視されます。

ドッグショー、グルーミングコンテスト、TVショー

 アメリカでは、ドッグショーやグルーミングコンテスト、TVショーなどが盛んに行われています。散歩しているときの飼い主同士の交流など社交性が強い国民性ですし、犬を媒介にした犬のオーナーレベルで参加出来るイベントがとてもたくさんあります。コンテストにはペットシャンプーメーカー、ペット関連メーカーなどが協賛して賞金を出し、優勝したグルーマーが広告塔になったり、コンテストで得点を積み上げた全米トップ10のグルーマーがアメリカ代表としてヨーロッパでのコンテスト遠征に行くグルーマーのオリンピックのようなものが欧米には出来上がっています。

「アメリカでの犬をとりまく環境 その2」(6月16日講演 後半の抜粋)

一時預かり、お泊り・デイケアといったサービスとグルーマーやトレーナー向けセミナーの充実

アメリカでは、「一時預かり」や「宿泊」や「託児所(デイケア)」といったサービスが充実しています。これは全米を対象とし、常に業界のニュースや経営方法を教えてくれる大きなケネル団体が2つあるからです。会員になれば事業のハウツーから顧客サービスの提案まで色々な情報が得られます。
また、グルーマーやトレーナー(訓練士)向けのセミナーも多く開かれています。そこでは、最先端のトレーニング理論や店の経営の仕方など聞けます。

アメリカのグルーマーの資格、試験と職域

アメリカでは、グルーマーとベイザーの2種類の資格があるのをご存知でしょうか。日本と比べて、「速さ」が求められるので、トリミングする道具なども充実しています。
 ベイザー・・・シャンプーやドライ、爪切り、腹バリなど下準備を専門にする人。専門学校で、1週間〜1ヶ月くらいで取れます。
 グルーマー・・カット(仕上げ)の技術をもつ人。アメリカのグルーミング店舗はコミッション制が多く、売り上げの50%がグルーマーの取り分になることが多いです。それに仕上げをするグルーマーは顧客からのチップが増収になります。技術をもち頭数をこなすことがグルーマーのメリットにもなるのです。
資格は専門学校や店舗で学ぶことが出来ますが、グルーマーとしての高度な技術の証明となる資格はNDGGAやIPGなどの組織で、5犬種の実技試験と筆記試験に合格すると取れます。
 日米では、犬をとりまく環境・文化がこれほど違うのですね。とても興味深いお話でした。

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